裏庭。絵日記的ブログ
「いた…」
着替えていたネズミが発した小さな言葉を、紫苑は聞き逃さなかった。
「どうした?ネズミ…、あ~…」
振り返るとシャツを脱いだネズミの背中、わき腹のあたりに、真新しい細いひっかき傷の鮮やかな赤色が薄暗い室内で光っている。
身に覚えのある紫苑は、気まずそうにその傷を眺めながら、消毒液とコットンを取り出した。
「誰かさんが思いっきりやってくれたからな」
ネズミがおとなしく処置をされながら、クスクスと笑いながら言う。
「だってあんなの…!」
反論しながら思い出してしまった紫苑は、真っ赤になり口をつぐんだ。
「あんなのって?紫苑?」
ネズミは振り返ると、紫苑の顔を覗き込みニヤニヤと楽しそうに笑いながら、コットンをにぎる手をつかんだ。
「ネズミ…」
赤い顔のままムッとしてみせるが、目の前の整った顔立ちにかなうはずもなく、近づいてきた唇に目を閉じる。
「ん…ネズミ…、仕事…」
「そうでした、残念」
確信犯的な、ちっとも残念そうでない顔でやはり笑いながらバンザイをして、ネズミは紫苑から離れた。
「姫、必ずお迎えにあがります。この続きは今宵、必ず」
ネズミは仰々しく演じて、
「…誰が姫だよ。早く行かないと遅刻するぞ」
含みのある言葉に紫苑は顔を赤らめながら、傍らに置いてあったネズミが着るシャツを手にとると、紫苑相手に仰々しくお辞儀をしているネズミに着せてやった。
「姫自らこのようなお手汚しを」
着せられるがままで、演技を止めないネズミに紫苑はクスクスと笑い出した。
「早く行って。それとも引き留められたいの?」
「いいえ姫、今はしばらくの辛抱です。私めが必ず快楽をお持ちすると約束いたしましょう。」
収まりかけていた紫苑の顔が、赤くなる。
止めないネズミに、諦めたように目を一度閉じると、紫苑が乗った。
「…今宵も必ずわたくしの元に戻ると、約束を。」
言いながら、慈愛とも言える穏やかな表情で、ネズミの顔を両手で包むと額にキスをした。
「…ありがたき幸せ」
顔を離して目を見合わせると、ネズミがニヤリと笑い、紫苑もおかしそうに笑った。
「さて、行ってくる。」
「うん」
ネズミは余韻を振り払うように、さっと身を翻すと小さな扉を開け、振り返ることなく出て行った。
紫苑はその身替わりの早さを少しうらやみながら、小さな音をたてて閉まったドアを見つめた。
*********************
紫苑は赤面したりせずに、むしろ赤裸々に語って、逆にネズミが困って、もういい!とか言っててもいいなぁとか。
演技に走ったのはネズミの照れ隠しだと可愛いなぁとか。
怪我の傷なんて痛くもかゆくもないけど、紫苑につけられた故にじくじくチクチクと痛んで気になっちゃうネズミとか。
ていうか、紫苑、何されたのかしら!!
うふふ(≧∇≦)
ていうか、あまっ!!!!悶
紫苑はその時のテンションによって、どうとでも変わるので、その辺非常に面白い子だなぁと思いました。
赤面する紫苑がかけて満足

次は困ったネズミが書けたらいいなぁ…いつか

お粗末でしたっ!
PR