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裏庭。絵日記的ブログ
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今更ですがー!!
バレンタイン餡菌ネタ、なんとかできました♪
ほんっと今更だな!

つか、例に漏れず甘い・・・というか、恥ずかしくて穴があったら埋まりたいです・・・w

ちょいと長いですヨ。興味のある人のみ、つづきをクリックしてください♪

ひゅるる・・・。
「はー、さむ・・・」
冷たい風がすぐ隣を吹き抜ける。
重く灰色の雲の直ぐ下を、いつもの様にパトロールしていたのは餡。
寒さには強い方だと思いながら宙に留まると、耳がすっぽりと治まるようにマフラーを巻きなおした。
今にも雪が降りそうな天気のせいか、外に出ている人はまばらで事件も困っている人も居そうな気配はない。
それならば、とUターンをしようと決めたところだった。
下方に見慣れた人影を見つけて、嬉々として降下しようとした時だった。
その人物は、両手に買い物袋を持ち、餡の見知らぬ女の子と向かい合っていた。
広場の中心にある噴水が、弱々しい勢いで水を吐き出している様が寒そうだった。
「菌・・・、なに、あれ・・・。」
女の子が鞄から手の平に納まるほどの小さな箱を取り出し、差し出されたそれをおずおずと受け取る。
何やら2~3言交わし、すぐに小走りで立ち去る女の子の後姿を少しだけ見送った人物は、女の子とは別方向に向かって歩き出した。
「・・・何もらったんだろ・・・?」
空中でしばらく思案していた餡は疑問に思いつつも、菌を追わずにパン工場へと帰ったのだった。

 

「あら餡、おかえり。今日は早かったのね。ココアでも飲む?」
言うと返事を待たずにバタコがマグカップの用意を始めた。
「あれ、バタコさん、今日はお店はいいの?」
普段この時間は厨房かお店に立っているバタコが、リビングに居ることに何かあったのかと尋ねると
「おむすびくんがね、帰って来てるの。食と一緒にお店出てくれてるからちょっと休憩。」
「へぇ、飯帰って来てるんだ。・・・今日ってそんなに忙しいの?」
「ええ、今日は忙しいわよ~。」
マフラーを外しながらリビングのソファに座ると、テーブルの上にココアと共に小さな箱が置かれた。
先ほど広場で見たやり取りで出てきたものに似ている。これと同じようなものに見覚えがあった。
何故それがココにあるのか?
「これは・・・?」
「何とぼけてるの、今日はバレンタインデーよ。これは私からね。」
「あ!そうか・・・ありがとうバタコさん」
「どういたしまして」
にこやかに礼を言いながら、はたと考える。
菌が貰っていたものは、もしかしてチョコレート?しかも(僕の)知らない女の子から?
「どうしたのよ、怖い顔して。菌と喧嘩でもしたの?」
「え?別に喧嘩なんて・・・」
「菌も菌でおかしいのよね。」
言いながら、バタコが腕を組んで小首をかしげる。
「お買い物を頼んで帰って来てから、店の手伝いをしてくれるって言ってたのにその後すぐに帰っちゃって。」
菌の行動と菌が貰ったチョコレート、何か関係があるのだろうか?
広場の噴水での出来事を思い出すと、モヤモヤとした煮え切らない気持ちに包まれる。
「ねぇ、餡は菌にあげないの?」
「え?僕が菌に?」
噂好きな女の子の顔に戻ったいたずらっぽい笑顔で、バタコが餡を覗き込んだ。
「そうよ。最近は男女関係なくチョコを贈るっていうのが流行ってるらしいし、あんた達の場合菌だけにプレゼント要求するのってどうなのかなって思うわ~。」
「・・・そ、うかな?」
「そうよ!」
何故か迫力のあるバタコの言に気圧されながら、
「でも僕、チョコなんて作れないし、今から用意なんて・・・」
「要は気持ちの問題でしょ。お店のチョコ、持っていけば?」
商売上手なバタコに乗せられた気がしないでも無かったが、餡は素直に頷いたのだった。

 

バタコに言われた通り菌に渡すチョコを探しに店に立ち寄ると、待ってましたと言わんばかりに幾人かの女の子達に囲まれ、プレゼントを渡された。餡はそれを笑顔で受け取り礼をいい、店のカウンター内に入ると、そそくさと小さなトリュフを5つほど選び、適当に箱に詰め店を出ようとした。
「餡、お代は!」
背中に食の声が飛んでくる。
「つけといて!」
「ていうか、手伝え!」
「ごめん、用事!」
その返答に、なんだと?!と忙しさにイライラしていた食が語気を荒げると
「まぁまぁ、食」
注文されたチョコを箱詰めしていた飯になだめられて、むうっと口を尖らせた。
「菌にあげるんでしょうかねぇ?」
「菌以外に誰が居るんだよ?」
「そうですねぇ」
店に居るからだろうか、ニコニコと微笑を絶やさない飯に毒気を抜かれた食は、ため息をついた。

 


餡は森の小屋へと向かった。
案の定、小屋の小さな煙突からは白い湯気が立ち上っている。
ドアの前に降り立つと軽くノックをして、返事を待たずに戸をあけた。
「菌、いるー?」
「あ、餡っ?」
シンクに向かって何やら作業をしていた菌が、慌ててその背に何かを隠した。
それに気付いた餡は、菌の後ろを伺おうとするが
「何してたの?」
「いや、これは、べべ、別に!」
菌は着ていた白衣をわざとらしく広げて阻止する。
「そ、れよりもお前こそ、それ・・・」
丸太のテーブルに、先ほど女の子達から貰ったチョコが入った袋をどさっと乗せたのだ。
中身が直ぐに分かった菌は、わずかに顔をしかめた。
「うん。貰った・・・」
「ふん。あ、そう」
「これ、全部菌にあげる」
「・・・・・・は?」
菌は信じられないと言うように餡を覗き込んだ。
小さな箱にはメッセージカードが添えられたものもある。
「・・・お前、人をバカにしてんのか?」
「何で?バカになんてしてないよ?」
何故か機嫌の良くない餡に戸惑いを覚えつつ、菌も声を苛立たせた。
好意を踏みにじられたようで、何故か許せない。
「全部、自分で食え」
「食べない」
「何で?」
聞いても答えが返らず、沈黙がしばらく続いた。
「・・・僕も、君から欲しいモノがあるんだけど。」
「・・・何を?」
この期に及んでチョコなどと言おうものなら、どうやってこの小屋を追い出してやろうかと菌は思った。
「今日、昼」
「え?昼・・・?」
思いがけない言葉に、菌はきょとんと緊張していた顔を緩ませた。
餡は真っ直ぐに見つめてくる。心なしか、不満気な表情だ。
「広場で何か貰ってたでしょ? それ、僕に頂戴」
菌は目を見開いた。
広場で確かに手渡された、チョコレートの箱。見られていたのか。
「・・・・・・どうするつもりなのだ?」
「僕が食べる」
むすっとした表情で、だがほんのり頬が赤い。
「・・・は?それとこれとは何の関係があるのだ?」
ワケが分からず、丸太のテーブルに乗せられた袋を指差し問う。
「いいから、これあげるからそれ出してよ」
「・・・・・・もう、食べた・・・」
菌は申し訳なさそうに、ゴミ箱から箱に飾られていたリボンを拾い上げてテーブルの上に置く。
「食べちゃったの!?」
「え?いや、だって、その、ご、ごめん・・・」
凄い剣幕で言う餡に菌は思わず謝るが、それを見て餡は首をかしげた。
「・・・何で謝るの?」
「え?」
「何で菌が謝るのさ」
本気で意味が分かっていない様子の餡に、菌はしどろもどろに答えた。
「いや・・・その、・・・そのチョコはお前宛だったんだ・・・」
「・・・・・・え?僕宛?」
菌がこくりと頷く。
「・・・パン工場で餡に渡して欲しいって頼まれた・・・けど、」
「けど?」
「・・・お前に渡したくなくて、食べた」
「何で?」
「な、何でって・・・!お、お前こそ、そのチョコなんで俺様にくれるとか言うんだよ」
「それはー・・・」
反論しようとした餡の頭の中で何かが繋がった気がして、唖然として菌を見た。
菌が僕にチョコを食べさせたくなかった理由と、僕が菌に、菌の貰ったチョコを食べさせたくなかった理由。
根本的なところは同じだということに気付く。つまり、これは・・・。
考え至ると笑いがこみ上げてきて、腹を抱えて拭き出すように笑う。
「あー、僕達ってラブラブだね!」
「・・・はぁ?」
何を突然言い出すのかと、怪訝な顔で餡を覗き込む。
「つまり・・・、」
餡はゆっくりと顔を上げると、いつもの不適な笑みを満面に湛えて
「つまりね、同じこと考えてたんだ。」
「同じこと?」
「菌は何で僕宛てのチョコ食べちゃったの?」
「そ、れは・・・」
「菌、やきもち焼いてくれたんでしょ?」
「ばっ、そんなのっ・・・」
その正体はお互いの嫉妬心と独占欲と呼ばれるもので。
明るみになればなるほど醜くなるもののはずが、逆に頬が染まっていく。
椅子を立ち、テーブルを回って来た餡から逃れようとするが菌はあっさりとその腕に掴まった。
「僕もだよ。君がチョコを誰かに貰ったのが許せなかったし、それを菌が食べるのが嫌だった」
「勝手なこと言ってんな・・・」
「うん、すごく勝手だよね」
反省の全く無い口調で餡がいう。
菌はふいとそっぽを向くと、思い出したように餡が言う。
「あ、これ、はい」
胸のポケットから小さな箱を取り出して手渡した。
「え・・・俺様に・・・?」
「うん」
手に渡された箱と餡の顔を交互に見て呆然とする。
赤いリボンに、白い文字でHappyValentineと書かれている。
「あれ、目がウルウルしてるよ~そんなに嬉しいの?」
「ウ、ウルウルなんてしてないのだ!」
「あははは」
菌は勢いに任せて胸を押し返すと、
「・・・お茶を入れてやるのだ」
「うん」
餡は大人しく椅子に座った。
「・・・そのチョコ、どうするのだ・・・」
「こんなにたくさん食べられないよ~」
「・・・チョコは日持ちするのだ」
「でも毎日チョコじゃ飽きちゃうよ・・・ねぇこれ、他のお菓子に作り変えられないかな?」
「え?」
餡が袋から出して一つ一つ眺めているものは、どう見てもトリュフやクランチ入りなど手の込んだチョコ菓子であろうものもあり、菌は苦笑した。
「・・・無理・・・というよりそれはもったいないのだ・・・」
「そっか。じゃあしばらくはこれがお茶菓子だね。一緒に食べようよ」
「・・・太る・・・」
「君はもう少し太ってもいいんじゃない?」
「う、うるさいのだ!」
「あははは」
お茶のポットとティーカップ、白いレースの平皿にケーキを乗せてテーブルに運ぶ。
小ぶりだがホールのままで差し出すと餡が目を輝かせた。
濃いこげ茶色の表面には、粉砂糖でレース模様が白くデコレーションされている。
「わ、これチョコレートケーキ?」
「ガトーショコラ。その、プレゼントなのだ」
「ありがとう、菌」
にっこり笑って腕を取る。
「ね、キスしていい?」
「っ・・・聞くな、なのだ・・・」
餡がふわりと笑うと、菌がそっと目を閉じた。
先ほどの誤解は何処へやら、チョコレートよりも甘いキスにくらりとめまいを覚えたのだった。




****************************************
あー、恥ずかしいカップルだわね(笑)
餡の胸ポケットから出てきたチョコは、全部溶けてドロドロになってるといいよ!笑

お粗末様でした・・・!!

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